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1990-09-01から1ヶ月間の記事一覧

電子的神話世界へ

我々の思考というのは、実は自分自身で考えているほどには明確なものではなく、もっとずっと緩やかでいい加減なのだ。ぎりぎりまで追いつめることは必要だが、それでもなお曖昧模糊としたものが残るなら、そこにはなんらかの秘密(私にとって理解不能な他者…

情報の所有から情報の流通へ

我々が所有していると思っているのは、情報ではなく、その情報を乗せているメディアに過ぎない。書物でいえば紙でありインクである。ところが、電子的なテクノロジーはその状況を変更しつつある。たとえば、ゼロックスコピーの出現はその情報とメディアとの…

書物(紙メディア)のいくつかの欠陥

校正という言葉をかなり恣意的に使ったことをご容赦願いたい。事態を把握しやすくするために濡れ衣を着せていることはわかっているが、それ以外の言葉を思いつけなかったのだ。が、ともかく「校正の困難な電気信号としてのテキスト」、それはワードプロセッ…

「書く」、そして「読む」。

「書く」という作業は、思考というかなりあやふやなものを文字というメディアに乗せる作業である。そして、それは決して一方向的な作業ではない。我々は常に「読み」そして「書く」という、双方向の作業の中にいる。我々は自己の中に潜む他者を想定し、彼(…

ディスプレイ上で校正作業ができない、ということの意味

コンピュータのワープロソフトやワードプロセッサを使っていらっしゃる方はご存知だと思うが、ディスプレイ上での校正作業は至難の技である。どれほど注意深くチェックしても、プリンタで印字させると誤字脱字がぼろぼろ見つかる。これもまたまったく同じ“原…

ハッカーを襲った“原ウィルス”

では、なぜ彼らハッカーが“病気”になってしまったのか、あるいは“彼らを襲ったウィルス(原ウィルスとでも呼んでおこう)はどこに潜んでいたのか”を考えてみたい。僕自身の経験から推測するに、それはおそらくコンピュータの中にいたはずである。というと、…

PDSと市販ソフトウェアの相違

PDSの「価値に対する考え方」は、一般的な市場におけるそれとは根本的に相違している(ように見える)。それは、使用価値が、あらかじめ商品(ソフトウェア)に“内在する”のではなく、消費者(使用者)が実際に使った時点で“生まれる”ものであるかのよう…

なぜ彼らは“病気”とみなされるか

コンピュータの世界にハッカーと呼ばれる人種が存在するのは、おそらくご存知だろう。誰の謀略なのかはわからないが、彼らにはいつのまにか“コンピュータシステムを破壊する犯罪者”というレッテルが付いて回るようになってしまった。しかし、決して昔からそ…

コンピュータネットワークは新たなる神話世界か?

まずはじめに白状しなければならないことがある。それは、この原稿を書くまで私が「ハッカーとは病気である」と考えていた、ということ。そして、病気なのはハッカーではなく、そう見てしまう私の方であることに気づいたことを含めて。