1997年6月下旬，東京・西麻布。

1997年，某ウェブ製作会社のデスク……というか僕の机である。机のサイズは幅120センチ，奥行き70センチのごく一般的なビジネス用だが，17インチのCRTとデスクトップPC本体を置くともうほとんどスペースは残らない。メールやウェブを見るためのノートPCをその間に割り込ませるとキーボードを置くかメモや資料を置くかの二者択一となる。仕方なく机の引き出しをキーボードテーブル代わりに使っている。

撮影はQV10だ。せっかくなので補正は掛けずトリミングだけした。オリジナルのサイズは横480ピクセル，縦320ピクセル。約25KB。粒度どころかジャギーでまくりで，細部なんかどうなってるかもわからない。それでもこのカメラ，５万円以上，そうそう，LUMIX（300万画素，光学12倍ズーム）と同じぐらいの値段だったのだ。

いや，そんなことはどうでもいい。なんでこんな写真が残っているかという話であり，そもそも何の目的でこんな写真を撮ったのか，なんだけど，実はこうやって見るために撮影した。ようするに外国に行ってどこに行って何を買うと後でおもしろがれるかというのと同じなのだ。その時，その場所でもっとも日常的でありふれたものが，実は後から一番面白い，と。だから，僕は後で見て自分が面白いと思えるような写真を撮っていることになる。

それをあなたが見て面白いと思うかどうかはまた別の話。