N/A

 第九弾へのコメント3---リアル書店で風情をチェック

書名や著者名がわかっている場合、特定の分野の知識を仕入れたい場合ならよほどの稀覯本でもない限り探す手だてはいろいろある。しかし、自分でも何を探しているのかよくわからない場合には難儀する。というか、探すという行為そのものを諦めて「自然の出会い」を待つしかなくなる。[松岡裕典
20年ほど前になるが「情報」について知りたくなって、知り合いだった優秀な工学部の学生さんにアルバイト代払って探してもらったことがある。しかし、出てきたのはクロードシャノンとかウィナーとか。工学部で「情報」といえばそうなるのは今ならわかるけど、当時まったくの文系だった僕には「あらまぁ」という感じだった。
いわゆる「信号理論」が知りたかったのではなく、人間はどのように情報を理解するのか、理解してもらうためにはどうすればいいのかが知りたかったのだが、それを彼にうまく伝えることができない=自分でも何を探しているのかよくわからなかったのだ。で、それから10年ぐらいしてコミュニケーション関係の本を漁った結果、僕の知りたかったことは言語学認知心理学や哲学!の分野の話であることに気が付くことになる。
こういう意味で「探す」となると、アマゾンなどのオンラインショップはほとんど役に立たない。大量の本をざーっと眺めていく場合には本屋や図書館に勝るものはない。というわけで、ピンポイントで探す時以外はまずリアル書店ということになる。
書店で本のどこを見るかというと、まず「風情」とか「佇まい」みたいなものだ。感覚的で申し訳ないが、これは今泉さんの言う「レコード(CD)のジャケット買い」に近いと思う。それで気になれば手に取る。で、適当に1,2ページ読む。それで引っかかる(良い意味で)ところがあれば、著者のプロフィールを見る。それから版元(出版社)。それらの総合点で買うべきかどうかを決める。
その後は基本的に「芋づる式」だ。買った本の中で引用あるいは参照されている本で面白そうなものがあれば買う。もちろん、著者が良ければ他の本も買う。というわけで、僕の「本探し」はデジタルとは縁遠い。ではテクノロジーで支援不可能かといえばそういうわけでもないと思う。
(Thu, 08 Apr 2004)