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発明の前に発想があり、発想の前に発見がある

小集団の間で知識を流通させる、あるいは知識を共有するためにはどうすればいいか、どのような道具や技法があるのか、それらを使う人間にはどのようなスキルや心構えが要求されるのか、あるいはそれを実現・サポートする環境(インフラ、ソフトウェアなど)はどうあるべきか、というのがこのサイトのテーマだ。つまりオールマイティな天才なら一人でやってしまえることを、そうではない複数の人間が共同で行うためにはどうすればいいのか、だ。[松岡裕典
「世紀の大発見」クラスの発見や発明は、それこそ100年に1回あるかないかだろう。しかし、仕事でそれを待つわけにはいかない。だとするなら、普通の個人の小さな発見を発想に結びつけ、最終的な発明(特許を取る取らないは別としても)にまで持ち込む以外に方法はない。
つまり「あれ?」と感じたこと(発見)を誰かに伝え、それに触発された誰かがその発見から発想する。しかし、発見した人間とは別の人間なので、その発見が100%正しく伝達・理解されるわけではなく、必ずズレが生じるし、時にまったく正反対に受け止められる場合もある。そしてそれが予想外の発見に結びつく場合もあれば、単なるコミュニケーショントラブルに終わる場合もある。
ブレーンストーミングの鉄則は「どのような意見も否定するな」だが、これはもっとも初期状態の発見や発想が壊れやすいものであることを示している。小さな芽(可能性)はたった一言でも潰されてしまうというわけだ。つまり最終的な果実(発明)を手に入れられるかどうかは、その初期の小さな芽(小さな発見)をどのように保護するかにかかっているとも言える。
また、一つ一つは小さくて取るに足りない発見であっても、それらをうまく集めて組み合わせることで、そこそこの発想を生む元になる場合もある。だとするならば、小さな発見をどこかにストックしておいて、それを自在に組み合わせて見られるツールが欲しくなる。
つまり、小さな発見をさっと文字あるいは写真などに定着させる仕組みやツール、次に、それをさっと取り出せるように蓄積する仕組み、そして、それらを自由に自在に組み合わせて比較検討できる仕組みが必要だと思うのだ。そういう具体的に使ってみられる道具がないと話だけで先に進むのは難しいなと思っているところだ。
(Fri, 09 Jan 2004)