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ケータイを持ったサルの中には発想をクリッピングするサルもいる

先週「クリッピングを共有できればいいのに」と書いたが、ウェブページや紙の新聞でこれをやろうとすると著作権の問題に引っかかる。もちろん個人、非営利であればそれほど問題にはならないが、企業や組織で新聞をコピーしたりウェブページをクリッピングして共有するのは御法度だ。しかし、ここでの議論の流れから言うなら、新聞やウェブページの現物をコピーする必要はない、ということになる。話だけなら概略が伝えられればいいのだし、現物へのアクセス手段さえ明確になっていれば、後から確認することもできる。[松岡裕典
そもそも、何をクリッピングするかといえば「あれ?」と思った対象である。で、その対象はウェブや新聞になることもあるが、街を歩いていて見つけたモノや広告、あるいは、喫茶店で聞こえてくる隣の人の話だったり、書店で見つけた単行本、ということのほうが多い。もちろん、知り合いとの雑談(まれには会議や打ち合わせ)で「あれ?」に出くわすこともあるが。
それら、たいがいのケースでパソコンは手元にない。だから、コピーペーストもできないし、メールも使えない。以前はしかたなく名刺ケースに小さなポストイットを貼ってそれにメモしていたのだが、最近ではこれがすっかりケータイに置き換わってしまった。……という話をすると変な顔をする人のほうが多い。「えっ? あのテンキーで何か書くんですか? お若いですね(笑)」とか、「それ、デジタル万引き一歩手前じゃないですか(笑)」とか、まぁ、たいていの場合、会話の最後に(笑)が付く。ようするに揶揄されているわけだ。
まぁ、それも仕方ないかもしれない。なにしろ本屋には『ケータイを持ったサル』なんていう本が平台に積まれている。同年齢の知人には「あの、歩きながらケータイでパチパチやってる若いの見るとケリ入れたくなるね」という手合いが多い。
若い人がケータイのキーをパチパチしながら一体何を書いているのかは知らないが、少なくとも私の場合、こういう原稿を書くためのネタや、仕事のヒントをあの小さなキーで書き留めているのだ。とはいえ、ケータイを持ったサルの中にはそういうサルもいるという話であって、歩きながらケータイパチパチが変であることを否定するつもりはない。
でも、あれ(私も含めて)をサルと言うとサルに失礼なんじゃないかと思うけど、どうなんだろう。サルは自然の中で自然に暮らしているでしょ。サルも都市生活をするようになれば同じように変になるのかしら。
(話が脱線したようなので次回に続く)
▼ 『ケータイを持ったサル』
(Thu, 30 Oct 2003)