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もし僕がホームページを持っていたら

NuDI1997-05-01

もちろん僕もホームページは持っている。僕の在籍する会社のサーバーにあるのだが、もう1年以上「.......now sleeping......」と表示したまま何の変化もない。工事中ですらない。なにもしないなら、やめてしまえばよさそうなものだけど、やめてしまうと僕はサイバースペース上で存在しないことになってしまう。僕はまだ死んでない。ただ寝ているだけだ……というこれはこれで一つの立派なメッセージ……強引である。
作る気がないわけではない。「僕ならこうするのに」と仕事をしながらよく思う。それで、見かけだけ作ってみることを思いついた。名付けて「想像上のホームページ」……その昔アンドレマルローが提唱した「想像上の美術館」のパクリであり、やはり坂本龍一さんが作った想像上の書物を集めた単行本の真似っこにすぎない。真似っこといって悪ければ「アイデアのサンプリング」とでも呼べばいいのか。
作るのはトップページだけで中身はない。電車の中吊り広告、新聞スタンドに積まれた東京スポーツのおどろおどろしいタイトルと同じで「ええー、どういう内容なんだろう」と想像して楽しむものです。……とはいえ、それだけでは申し訳ないので、その合間にはホームページを作る上でのちょっとしたヒントや、本や映画の感想をしたためたり……もあるかもしれない。……なんといい加減なと思うが、先のことは僕にもわからないのだった。


[初出]1997年5月:MIXJUICEスタートページ@リクルート(ISIZEの前身)