N/A

 マトリクスの話をしていて思い出した


知り合いと『マトリクス・リローデッド』の話をしていて、日本のアニメに影響を受けているらしいが、それはアキラのことか、とか言うので、いや、アキラとか具体的な作品というより東洋的なコンセプト(哲学)に影響を受けているというのをわかりやすく言ってるだけだろう。あるいは、単に日本のアニメファン向けのリップサービスに過ぎないんじゃないの、とか。


そんな話をしていて、そういや『幻魔大戦』ってのもあったなと思い出した。


この表紙、「こうしたい」という意図はあったんだけど、明らかな失敗作だ。失敗の原因ははっきりしている。何から何まで全部一人でやると疲労するというか、風通しが悪くなるというか、刺激がなくなるというか、ある種の自家中毒を起こしてしまうのだ。「これで一冊作ってよ」と言われて提示されたのは、大友さんが映画のために描いた数百枚の絵コンテ、角川文庫版の表紙原画、それと数枚の描きおろしのイラストレーション。原稿は一切なし。「うーむ、いくら絵コンテ集といっても原稿なしじゃなぁ」と思って、いくつかのインタビューをすることにした。


大友さん、監督のりんさん、美術監督の椋尾さん……アポを取ってもらって会いに行ってテープ回してそこから原稿を起こして、一方で大量の絵コンテを床の上に並べて構成を考えて、そういうのを、昼夜兼行でやってると、カバー周りまで神経が行き届かなくなっちゃうのだ。簡単に言うと「世界を平和にするためにはどうしたらいいか」と「このフォントのここが気にくわないからアウトラインを取って修正しよう」を同時にやるようなもんなのだ。


ま、この本だけならいいんだけど、映画の題字、サントラのジャケットからハンカチだの缶ペンケース、鉛筆にいたるキャラクター商品まで、知人に手伝ってもらったとはいえ、全部やったんで最後はもうヘロヘロになった。

サントラはたぶん最初で最後のジャケットデザインなんだけど、これも失敗した。初稿が若干赤っぽくなりすぎたので黄色を強めにといったらやりすぎてしまったのだ。当時はDTPはもちろんないし、コンセンサスも出ない。色校正を出しては「ここ、ちょっと黄色強めに」なんてやってんだから、こちらの思ったようにはなかなか上がらない。(ちなみに、今入手できるDVDのジャケットは構図は似てるけど色味はかなり違ってる。再発されたサントラのはまったく別物)