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「王朝貴族の装束展−衣服を通してみる文化の国風化−」

知り合いが今日までだぞというので「王朝貴族の装束展」を見に行ってきた。場所は東大・駒場キャンパスにある美術博物館。装束なんてあんま興味ないなぁ……とか思っていたのだけど、知り合いや館長の義江先生の話を聞きながら見たらとっても面白かった。

国風文化の真相

一般的には、国風文化というのは中国からの文化を取り入れた後、そこから脱して日本独自の文化(国風文化)を作っていくということになっていて、それを主導したのは貴族ということになっているんだけど、実はそれだけではなく、むしろ、地方の豪族や庶民の文化を貴族が取り込むことで成立していった面も大きいのだそうだ。

日本人のしたたかさ

非常に大ざっぱに言うなら、いったんは先進国からそのまま取り込むが、そのあと時間を掛けて自分に合わないものはどんどん捨てていくということで、これは仏教にせよ民主主義にせよ、まったく見事なまでに一貫している。これを評して民度が低いだのなんだのといわれるわけだけど、ほんとにそうなのか? という気もする。

複合民族であること

「日本人」はいろんな人種・民族が混交して成立したものであって、けっして最初から「単一民族」であったわけではない(ま、そんなことを言えば世界中に単一民族なんか存在しないんだけど)、というのは考古学的に見ればはっきりしている。にも関わらず「単一民族」であると考えたがるのは何故なのか? 単なるコンプレックスなのか? それとも複合民族を統合するためには必然的にそういう神話が要請されたのか? アイデンティティとは「ある」ものではなく「作る」ものなのか……。