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オートポイエーシス

これはとっても難解でかつ面白くて刺激的なキー概念だ。いくつかポイントがあるんだけどそのうちの一つが「入力も出力もないシステム」という考え方。これを「ない」と考えるとわからなくなる、これは「ない」のではなく「区別できない」あるいは「入力と出力が同時に双方向的に発生するので、この二つを別の事象として分離することができない」という意味に取るべきなんじゃないかと思うのだ。
いちばん身近な例(比喩)は「面と向かって話をする時」だと思う。たしかにある瞬間を取ればどちらかが喋り、どちらかが聞くわけだから、入出力が同時だとは言い難い。でも、それを成立させている「場(系)」のレベルで考えれば入出力があって初めて「場(系)」として成立することになるはずだ。どちらか一方の入力だけでは「場」にはならない。
で、これは「領域(場)がどのように生成されるか」という問題とも絡んでくる。オートポイエーシスでは、というより河本さんの比喩で言うと、「自転車がグルグルと回っている時に円領域が生成される。自転車が止まればその領域も消える」ということだ。つまり、場があってそこで入出力という事象が起きると考えるのではなく、入出力があって初めて「場」となる。ということだ。

昔、喫茶店カップルが向かい合って座りながら、男の子はゲーム、女の子はウォークマンで音楽を聴きながら雑誌を読んでいて、会話は最後の「じゃ出ようか」だけだった。……これって何? という話にもつなげようと思えばつなげられなくもない、か。