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「図」とは「文字を囲ったもの」である


以前、ある編集者の人から「図解の本を書きませんか」と言われたことがあって、しばらく考えたり、本屋さんにある「図解なんとか」という本を何冊か買ってパラパラ見たことがあります。で、いつものクセ(悪いクセなんだけど)で「そもそも図解とは何だ」と考え始めちゃったんですね。その結論の一つがこれなんです。

なんでそんなことを考えはじめたのかと言えば「図解について書くのに図解とは何か、図とは何かが、わかっていなかったら図解の本なんか作れないじゃん」と考えたからです。

さて、僕らは何を「図」と呼んでいるのか、あるいは「図として成立するためにミニマムな要素・条件とは何か」を考えてみての結論は「文字を□(四角)や○(円)で囲んだものである」になりました。「じゃ文字だけでもよさそうなもんだな」とも考えたんですが、そうでもないんですね。この□や○というか「文字を囲むこと」が重要、というか、まさしくこの「囲む」こそが図解のキモなのです。

たとえば、囲わずに 男 女 と書いてみます。その下に[男]([ ]は□で囲んだ状態を表します) [女]と書いてみてください。何が違うかというと、囲むとその文字が示す範囲が明示される、関係が表現されていること(この2つの概念が分離状態にあることが表現されていること)に気が付きます。[[男][女]]と書くと、これらを包含する概念が存在することが表現できます。これを 男 女 と書いたらこの2つの関係は何も表現できませんよね。

つまり、囲うという行為によって、ただの文字が「概念を扱えるモノ=図」に変化してしまうんです。コンピュータサイエンス的に言うと「オブジェクト」とか「モジュール」になるわけです。つまり「図解なんたら」という本の本質は「リニアである文章を分解してオブジェクトとして扱えるようにするための技術」を説明している本であるべきなのです。が、本屋さんに並んでいる「図解なんたら」がそういう本なのかどうか、は実は全部ちゃんと読んでいないのでわかりません。ごめんなさい。