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「本」は読者に理解されてはじめて完成する。

私たちにとって本とは一体何だったのか、何であろうとしていたのか?
私たちはまずそこから考え始めることにしたいと思います。
本の気持ちになって考えてみると
本はきっと読まれること、そして何よりも理解されることを願っていると思います。

今までの紙の本はその目的を果たすのにほんとうに相応しいスタイルだったのでしょうか。
コンピュータという技術に出会って、私たちはそう考えるようになったのです。
ひょっとすると、もっと別のスタイルをもった「本」が可能になるのではないか。
もっとたくさんの人たちに理解を提供できる……
つまり、その人なりの「読み方」が可能になるのではないか。

新しい技術がそれに相応しいスタイルを持つためには長い時間が必要です。
いつになればその新しい本の姿が見えてくるのか、
今の私たちには想像することさえできませんが、でも
小さなことを少しづつ実験し積み重ねていけば、少しは近づけるのではないかと思います。
ここで、その作業をみなさんと一緒に始めることにしたいと思います。
いま、私たちにわかっていることはただひとつ。

「電子本」は、けっして「本の電子化」ではないだろうということです。